監修:アメリカ審美歯科学会認定医、歯学博士 椿 知之
歯医者で行う医療ホワイトニングの種類とメリット、デメリット<2024年度版>
最近では一般的になってきたホワイトニングですが、大きく分けてオフィスホワイトニングとホームホワイトニングがあります。ホワイトニングに関して疑問はありませんか?このコラムではオフィスホワイトニングの解説とメリット、デメリットについて解説いたします。
1.オフィスホワイトニングとは
オフィスホワイトニングは1991年にアメリカで実用化された方法で、歯科医院内(オフィス)で 歯科医師や歯科衛生士が行うプロフェッショナルホワイトニングです。一般的には3%~40%の過酸化水素を主成分としたホワイトニング剤に、特定の波長の光を当てることで薬剤を活性化させて短時間、短期間で歯を白くすることができます。
発売当初は35%の薬剤に低出力のハロゲンライトを当てる方法で1回の効果はそれほど高くはありませんでしたがそれ以降研究が進みレーザーや高出力のプラズマライトなどを使用して高い効果を発揮できるようになりました。現在では薬剤の中に光に反応する触媒を配合することで、さらに効果を高くすることができるようになっています。
これに対してホームホワイトニングは、歯の型を取ってホワイトニング用のマウスピースを作り、その中にホワイトニングジェルを入れて自分で行うホワイトニングのことです。使用する薬剤は安全性を考慮して低く設定されているため、1回の効果はかなり弱く歯を白くするまでには時間がかかります。
※歯科医院以外で扱っているセルフホワイトニングはオフィスホワイトニングとは異なります。
2.オフィスホワイトニングの種類
3.オフィスホワイトニングの流れ
4.オフィスホワイトニングのメリットとデメリット
1.オフィスホワイトニングは短時間で白くすることができます
オフィスホワイトニングは短時間で歯を白くすることができるため、結婚式など、急に白くしたい場合でも対応できます。ホームホワイトニングの薬剤は、かなり濃度が低いため、平均的な歯の色の方が白くなるまでには数週間~1,2カ月かかります。
2.自分で行う面倒がありません
オフィスホワイトニングは歯科医師や歯科衛生士が施術するため、すべてお任せ。エステを受ける感覚です。
自分で行う面倒がありません。
3.ホワイトニング後の飲食制限も短期間
ホワイトニング後24時間は、歯に着色しやすいため、着色性の食べ物は避けていただいています。この食事制限もオフィスホワイトニングであれば、1回から多くても数回で済みます。ホームホワイトニングを毎日行う場合は、その期間中着色性の食品は注意が必要になります。
着色性食品)
コーヒー、紅茶、ウーロン茶、ココア、コーラ、赤ワイン、ベリー類、カレー、たばこ、 チョコレート、キムチ、ソース、しょうゆ、ケチャップ、合成着色料を使用した食品、色の付いたうがい薬など
4.オフィスホワイトニングはしみる歯をガードすることができます
オフィスホワイトニングは薬剤がしみる最大の原因である歯がすり減った部分 (特に下の前歯の先端部分)や歯のひびを避けて薬剤を塗ることができます。これに対してホームホワイトニングは、しみる原因の部分をガードすることができないため、10%の低濃度の薬剤でもしみてしまう場合があります。一度しみてしまうと、毎回しみてしまうため、歯を白くするまで続かない場合があります。オフィスホワイトニングの場合は、しみたとしても1回~数回で済みます。
5.虫歯がある場合または虫歯の治療痕に隙間がある場合でもオフィスホワイトニングなら可能
ホワイトニングを行う歯に虫歯がある場合、歯がしみたり虫歯を悪化させてしまう場合があります。オフィスホワイトニングは、虫歯の部分をガードしてホワイトニングを行うことができますが、ホームホワイトニングは虫歯の部分をガードすることができないため必ず虫歯の治療を行ってからになります。
6.ホワイトスポット(白い斑点やシミ)も目だなくすることができます
ホワイトスポットはエナメル質ができるときに、何らかの原因で石灰化(カルシウムの沈着)ができていない部分で、乾燥やホワイトニングによって白い色が濃くなります。 オフィスホワイトニングでは、ホワイトスポットを避けて周りの歯の部分を白くすることで、ホワイトスポットを目立たなくすることができます。ホームホワイトニングは、ホワイトスポット部分を避けることができないため、ホワイトニングをしていくとホワイトスポットがさらに目立ってきます。
7.歯並びが悪い場合や矯正中でも可能
ホームホワイトニングは歯の型を取って、その歯に合ったマウスピースを作製するため、歯並びが悪い場合はマウスピースが入らない場合があり、ホワイトニングができないことがあります。オフィスホワイトニングは、歯並びが悪くてもホワイトニングは可能です。 また矯正中の方も裏側からの矯正(舌側矯正)の場合はホームホワイトニングはできませんが、オフィスホワイトニングは可能です。
8.施術を受けている間に歯を白くできます
オフィスホワイトニングはすべて歯科医師、歯科衛生士が施術を行います。セルフホワイトニングやホームホワイトニングのようにご自分で行う手間がなく、ゆっくりお休みいただいている間に施術が終わっています。エステを受けるようにホワイトニングもリラックスしながら歯を白くすることができます。
1.歯科医院やホワイトニングサロンに出向く必要があります
ホームホワイトニングは、マウスピースを作れば自分の好きな時に好きなペースで歯を白くすることができますが、オフィスホワイトニングはホワイトニングの際に歯科医院まで行く必要があります。
2.一回の料金が高い
ホームホワイトニングでは初回のみマウスピース代がかかりますが、マウスピースを持っていれば薬剤の費用のみで行えます。オフィスホワイトニングは施術代がかかるため、1回の料金はホームホワイトニングに比べて高くなります。
3.オフィスホワイトニングを扱っている歯科医院が少ない
オフィスホワイトニングは特殊な機械が必要で設備投資がかかり、薬剤の有効期限もあるため、ホワイトニングの施術数が少ないと採算が合いません。また保険診療を行っている歯科医院の場合、患者さんが多く治療用の椅子をホワイトニングに使用できない場合もあり、一般の歯科医院ではあまり行われていません。
4.紫外線アレルギーの方は注意が必要
オフィスホワイトニングに使用するライトの波長は400~500nm前後の青色の光です。この光は紫外線(380nm以下の波長)に近いため、紫外線アレルギーがある方や紫外線アレルギーを誘発する薬を飲んでいる方、紫外線に注意が必要な美容施術、レーザー治療、レーシック手術などの直後は受けられない場合があります。
5.オフィスホワイトニングは色戻りが早い
オフィスホワイトニングはホームホワイトニングに比べて色戻りが少し早めです。これはホワイトニングの時間がホームホワイトニングのほうが圧倒的に長いためです。ただオフィスホワイトニングでもホームホワイトニングでも色戻りが始まる半年に一回程度のメンテナンスを行うことで、歯の白さを維持することが可能です。その点ではオフィスホワイトニングとホームホワイトニングはそれほど差はありません。
6.オフィスホワイトニングは不自然な透明感のない白さになる?
オフィスホワイトニングは透明感のない不自然な白さになるという歯科医師もいらっしゃいますが、実は科学的な根拠(エビデンス)はありません。オフィスホワイトニングが開発された当初は酸を使用し、歯の表面が白っぽくなっていたためこのような誤解が生まれました。現在ではオフィスホワイトニングでも透明感のある自然な白さにすることができるようになっています。
5.まとめ
すべてお任せ、効果も高いオフィスホワイトニングですが、やはり欠点もあります。メリット、デメリットを比べた上でホワイトニングの種類を決めていただければと思います。
