監修:アメリカ審美歯科学会認定医、歯学博士 椿 知之
歯のホワイトニングでしみる7つの原因と対処法教えます!<2024年度版>
歯のホワイトニングの時に痛みが出てお困りではありませんか?ホワイトニングでなぜしみるのでしょうか?ホワイトニングに使用するお薬で歯にしみることがあり、健康な歯の人にも起こることがあります。
このページではホワイトニング時の痛みの原因とその対処方法をお教えします。
5.ホワイトニング時のしみの原因と対処方法
5-1 歯ぎしりによる歯の先端の削れ、歯の根元のくぼみ
5-2 歯の細かいひび
5-3 虫歯や虫歯の治療後の隙間
5-4 歯茎の退縮
5-5 ホワイトニング剤の濃度が高い場合
5-6 オフィスホワイトニングで発生する熱
5-7 ホワイトニングの時間
6.ホームホワイトニングで痛い時の対処方法
6-1 ホワイトニングを中断する
6-2 ホワイトニングの時間を短くする
6-3 ホワイトニングの濃度を落とす
6-4 歯科医院で処方された知覚過敏用のジェルをマウスピースに入れて装着する
6-5 市販のフッ素ジェルを直接歯に塗る
6-6 市販のリカルデントガムを噛む
6-7 鎮痛剤を飲む
1.ホワイトニングは本当に痛い?
ホワイトニングで歯がしみる方がいらっしゃいます。しみる原因にはいくつかありますが、弱いものも含めるとおよそ8割の方が何らかの違和感を感じます。ただ通常は冷たいものを食べたときに瞬間的にしみるような感覚で、虫歯のような持続的な痛みにはなりません。ホワイトニング前後にしみ止めを使用することで、しみを防ぐことができます。
2.ホワイトニングでしみる時期と期間
ホワイトニングでしみる時期はホワイトニング中~ホワイトニング後24時間に起こります。通常は24時間以内に治まりますが、48時間たっても痛みが治まらない場合はホワイトニング以外の原因が考えられますので、歯科医院を受診してください。
3.ホワイトニングで起こる痛みの種類
ホワイトニング時に起こる痛みはチクッとした鋭い痛みですが、そのまま継続すると継続してズーンとした痛みが続くことがあります。痛みが出ましたらしみ止めを塗布するなどで痛みを軽減することができますので、担当のスタッフにご相談ください。。ホワイトニング後に起こる痛みは間欠的にズキっとすることが多いようです。これはホワイトニング終了後、時間とともに徐々に回数は少なくなってきます。
4.ホワイトニングで歯がしみる理由
歯の構造は表面にエナメル質、その内側に象牙質があり、歯の中心にある神経を保護しています。歯の神経は「熱い」「冷たい」などの感覚はすべて「痛い」と感じてしまいます。また神経に接触している象牙質に何らかの刺激が加わっても痛みを感じます。この症状を象牙質知覚過敏症と呼んでいます。
ホワイトニングの薬は消毒薬を濃くしたものを使用しています。傷口に消毒薬をつけるとしみると思いますが、これが歯でも起こります。象牙質が出てしまっているところはいわゆる傷口と同じです。ここに消毒薬をつけるとしみてしまいます。また象牙質が露出していなくてもホワイトニングでしみることがあります。これは歯を白くするときにホワイトニング剤から発生するフリーラジカルが歯の細かいひびや隙間から象牙質に達すると象牙質を刺激してしみてしまいます。このフリーラジカルが歯を白くしますので、歯がしみるということは効果が出ているということです。
ただこの”しみ”は歯に対して害はなく一過性のものですので、ホワイトニングの終了と同時もしくはフリーラジカルの効果がなくなるホワイトニング後24時間以内におさまります。
もし知覚過敏が起こった場合には知覚過敏用の歯磨きやフッ素配合の歯磨きを使用することで治まる場合があります。ひどい場合は鎮痛剤を服用します。またホワイトニング後は歯の保護膜がはがれていて通常よりもしみやすくなっていますので、24時間は冷たい水や熱い食べ物は気を付けてください。
5.ホワイトニング時のしみの原因と対処方法
経年的な歯の摩耗や咬耗によって象牙質が露出していることが少なくありません。
例えば歯軋りによって下の歯の先端が削れてしまっている場合、ここにホワイトニング剤が付くとしみてしまいます。また不適切な歯磨きや、
歯ぎしりなどが原因で歯の根元がくびれてしまっている場合、また年とともにエナメル質が薄くなってきている部分にホワイトニング剤を塗るとしみることがあります。
対処方法)オフィスホワイトニングでは、象牙質が露出している部分をガードしてホワイトニングを行うことができます。ただしホームホワイトニングでは、この部分をガードすることはできません。
一見全く問題がないように見えるエナメル質でも細かいひびは入っていることが多く、このひびが象牙質まで達していると歯の表面に刺激を加えただけでしみることがあります。細かいひびはお肌の荒れと同じです。傷がなくても肌が荒れていると消毒薬がしみることがありますが、これと同様、エナメル質に細かいひびがあるとホワイトニング剤がこの細かいひびを伝って少しずつしみてくることがあります。お肌の”荒れ”と同じようなもので、健康な歯でも冷たいものがしみるのはこのためです。
対処方法)ホワイトニングの前に、歯の細かいひびをカルシウムやアパタイトなどで埋めて、象牙質までホワイトニング剤を届きにくくする歯のトリートメントを行うとしみを防ぐことができます。
ティーストリートメント
治療していない虫歯や虫歯治療後の詰め物に隙間がある場合、ホワイトニングでしみることがあります。
対処方法)ホワイトニング前に虫歯を治療しておくことが原則ですが、虫歯が小さい場合は、虫歯の部分をガードしてホワイトニングを行うことで、しみを防ぐことができます。ただしホームホワイトニングは虫歯の部分をガードすることはできませんので、ホームホワイトニングを行う場合は、事前に虫歯の治療をしておく必要があります。
歯周病や加齢で歯茎が退縮している場合、歯の根が出ていることがあります。この歯の根の部分にホワイトニング剤が付くとしみてしまいます。
対処方法)オフィスホワイトニングではこの部分をガードしてホワイトニングを行います。ホームホワイトニングでは、ガードすることができないため、この部分にホワイトニング剤が付かないようなデザインのマウスピースを使用します。
使用するホワイトニング剤の濃度が高いとしみる可能性が高くなります。一般的には光や触媒を使用することで、ホワイトニング剤の濃度を低くすることができます。
対処方法)できる限り濃度の低いホワイトニング剤を使用したホワイトニングを選ぶといいでしょう。オフィスホワイトニングであればブライトホワイト、ティオンホワイトニング、ホームホワイトニングなら10%のナイトタイプか、短時間のデイタイプがお勧めです。またまったくしみないホワイトニングもあります。
低濃度のオフィスホワイトニング
ブライトホワイト
ティオンホワイトニング
低濃度のホワイトニング剤と触媒、ライトの組み合わせで、全くしみないホワイトニングが開発されています。今までホワイトニングでしみてしまった方、ホワイトニングの時の痛みが怖い方、元々知覚過敏がある方、ぜひお試しください。
オフィスホワイトニングで強い光が出る機械を使用すると、熱が発生します。この熱によって歯がしみることがあります。
対処方法)強い光によって熱が出るタイプの機械は注意が必要です。ズームアドバンスや高出力のレーザーは、熱による知覚過敏が出ます。
ホワイトニングの時間が長いとしみてくることがあります。オフィスホワイトニングではホワイトニングの時間が決められていますが、自分で行うホームホワイトニングではホワイトニングの時間を短くすることでしみない場合があります。
対処方法)ホームホワイトニングでは時間を短くして回数を多くすることでしみることなく歯を白くすることができます。
オフィスホワイトニングの場合は1回の時間が短いホワイトニングのほうがしみにくくなります。ただ時間が短いほうが効果も弱くなります。
6.ホームホワイトニングで痛い時の対処方法
ホームホワイトニングで痛みが出たときに自分でできる方法をお教えします。
ホームホワイトニングでも痛みの原因は上記のいずれかになります。まずはホワイトニングを中断して冷たいものなどの刺激を避けてください。痛みが出ている歯がわかっている場合はその歯を除いてホワイトニングを行うことも可能です。
ホワイトニングを中断してしみが治まってきたらホワイトニングの時間を短くして行ってみてください。
ホワイトニング剤の濃度が高いほどしみる可能性は高くなります。もし高濃度のジェルを使用しているようなら、低濃度のジェルやしみ止めが配合されたジェルに変更してみてください。
歯科医院でホームホワイトニング剤と一緒に知覚過敏抑制剤を処方されている場合は、このジェルをマウスピースに入れて5~30分くらい装着してみてください。市販品より効果があります。
歯科医院から知覚過敏用のジェルを処方されていない場合は、市販のフッ素入りのジェルや歯磨き、MIペーストなどを歯に直接塗ります。フッ素は1,000ppm以上の高濃度の製品がお勧めです。
MIペースト
コンビニなどで販売されているリカルデントガムにはCPP-ACPという成分が含まれており、しみを和らげる効果があります。
痛みが酷い場合は鎮痛剤を飲むと痛みが和らぐことがあります。ただ時々ズキッとくる痛みにはあまり効果がありません。
※ホームホワイトニングの場合、しみの原因となる歯のひびや削れた部分を避けることができないため、お薬の濃度が低くてもしみる場合が多くなります。しみを極力避けたい場合や、毎日しみるのが怖い場合は、オフィスホワイトニングを選択されたほうがいいでしょう。
7.オフィスホワイトニング後の痛みの対処法
オフィスホワイトニング後24時間はホワイトニングの効果が持続しているため、間欠的に痛みが出る場合がありますが、通常は時間とともに治まってきます。ホームホワイトニングの時と同様にフッ素入りの歯磨きやMIペーストを使用したり、リカルデントガムを噛むことで痛みを和らげることができます。痛みが強い場合は鎮痛剤を服用するといいでしょう。
ホワイトニングの時の痛みの対処法として、1回で白くなるホワイトニングを選択する方法もあります。白くなるまでに何回かかかるホワイトニングだとそのたびに痛みが出てしまいますが、1回で白くなるホワイトニングであればしみたとしても1回ですみます。
8.まとめ
歯自体を白くすることができる歯科医院でのホワイトニングはどうしてもしみてしまう場合があります。このしみを100%防ぐことはできませんが、軽減することはできます。また通常24時間以内には治まりまので、ホワイトニングの回数が少ないほどしみる回数も少なくすることができます。いくつかの方法を組み合わせて快適なホワイトニングにトライしてみてはいかがでしょうか。
